創作基礎12:読んでおくべき本、ありますよ

創作基礎

「読む」ことが力になるんです

作品をたくさん書くのが創作のために一番必要なのは言うまでもないですよね。
でも、読むこともまた創作のために大切な修行だ、といったらあなたは信じますか?
ウソっぽく思えるかもしれませんが、これは本当なのです。

国語の授業でも、普段から教科書に書いてある小説を熱心に読むような子ほど成績が良かったように、
創作でも「たくさん読んでいる」人の方が有利なんです。

では、なぜ有利なのでしょうか。
1:たくさん読んでいる人は、文章のパターンが頭に入っている
2:たくさん読んでいる人は、物語のパターンが頭に入っている
というのが理由であるようです。

「1」は文法の勉強をすればいい、と思いませんか?
でも、テクニックやノウハウを教わるだけではカバーできないこと、結構あるんです。
「会話文と地の文のバランス」「句読点や改行のタイミング」「語彙や類語の使い分け」などがそれです。
これらはたくさん読み、先例を学ぶことで、深く考えずとも自分なりのやり方を選択することができるようになります
(ただ、実際にはセットで「たくさん書く」も必要なのですが)。

「2」はもっとわかりにくいかもしれません。
でもこれ、単純な話なんです。物語を作るとき、頭の中にパターンの引き出しがあると有利ですよね。
「復讐ネタにはクールなキャラがほしいな。どんな振る舞いをさせると似合うかな」
「熱血主人公を書きたい。どんな展開が相応しいかな」
と考えるときに、すでに色々な物語に接しているかどうかがものを言うんですね。

なにを読んでみましょうか?

では、具体的になにを読めばいいんでしょうか?
これ、大きく分けて2つのルートがあります。
1:自分の書きたい作品と同じジャンルのものをたくさん読む
2:古典や他ジャンルの作品をおさえていく
です。

「1」はわかりやすいですよね。
ライトノベルを書くために、ライトノベルを読む。筋が通っています。
このとき、読む順番としては

A:自分の好きな雰囲気の作品から読む量を増やしていく
B:アニメ化しているなど売れ筋、定番作品はおさえておく
C:Bを足がかりに、普段読まない雰囲気の作品も開拓していく

をおすすめします。読む量を増やしたいのですがそれが苦行になっては意味がないので、
まずは辛くない範囲から、そして新境地を切り開いていきたいのです。

定番から、というのは作品の質などの点で安心できるからという理由が半分。
もう半分は、今の流行り、人々の興味の対象を知れるから。
でもやっぱり数をこなすことで得られる経験は大きいので、どんどん読み進めてほしいのです。

「2」は、気後れする人が多いかもしれません。
でも、文豪などと呼ばれる人たちの古典的名作には学ぶところが多いんですよ。
今のエンタメ作品では崩して書かれることが多い文法・文体がしっかりした形で残っていたり、
今はあまり使われないからこそ斬新に感じられる物語パターンを学べたりするからです。
また、いわゆる純文学と呼ばれる作品群には、作中であまり説明せず、読者に想像させる余地を残したものが多いです。
それから、この時期の作家さんの作品の多くは青空文庫(https://www.aozora.gr.jp)というサイトで無料かつ手軽に読めるので、その点でもおすすめです。

具体的には、どんな作品がいいのでしょうか?
このサイトではまず「芥川龍之介」をおすすめします。
芥川作品は短編で、しかも表現が平易なので読みやすく、お手本にしやすいのです。模写までできるといいですね。

具体的な作品としては、以下がおすすめです。
『トロッコ』(https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card43016.html)
いわゆる「ゆきて帰りし物語」のパターンを踏襲した上で、心情とリンクする風景描写が参考になります。
『羅生門』(https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card127.html)
キャラクターの心情の変化、ポリシーの発見はいまでも人気のある物語スタイルです。
『藪の中』(https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card179.html)
真実はどこにあるのか、と考え、自分なりの答えをだすことは、創作の重要な修行です。

他の作家さんだと、このあたりはいかがでしょうか。
太宰治『走れメロス』(https://www.aozora.gr.jp/cards/000035/card1567.html)
芥川『トロッコ』と同じく心情とリンクする描写の手本になります。
江戸川乱歩『人間椅子』(https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/card56648.html)
ゾッとくる発想のオチは、短い話を書きたい人なら参考にするべきでしょう。
中島敦『山月記』(https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/card623.html)
虎になってしまった男の気持ちと弱さについて、深く考えてみてください。

他にも多種多様な作品があります。ぜひ、色々と読み込んでみてください。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

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