創作基礎4:プロットを作ってみましょう

創作基礎

プロットにはなにを書くのでしょうか?

榎本メソッドでは「創作はまずプロットを作るところから」と教えます。
プロットというのは何かと言いますと、いわば物語の設計図です。
たとえば、こんなことを書きます。

・ストーリー
(物語がどう始まり、どう展開し、どう終わるのか?)
・キャラクター
(登場する各キャラクターはどんな名前、どんな外見、どんな能力、どんな事情、どんな性格なのか?)
・世界設定
(物語の舞台はどんな場所で、どんな雰囲気で、どんな事情があるのか?)

ここまではわかりやすいですよね。でも、榎本メソッドではもっと大事なものがあります。
それが「テーマ」です。

テーマとは「その作品で一番大事なもの、表現したいもの」です。
愛や平和や友情もテーマですし、ラブコメでイチャイチャさせたいのもテーマです。
あまり難しい言葉は使わない方が良いでしょう。
本当にそのテーマが作品と結びついているか、わかりにくくなるからです。

なんのためにテーマについて考えるのでしょうか。
それは、要素に優先度をつけるためです。

たとえば、「父親の仇を追う少年が、旅の中で成長し、最後には仇を許す」というのをテーマにした物語を作ろうと考えた、としましょう。
この話ではどんな要素が優先度が高いでしょうか? 仇討ちの理由や成長のエピソードが欲しいですね。
逆に言えば、仇討ちや成長に関係のないエピソードは優先度が低くなります。

物語の中に盛り込めるエピソードは有限ですから、優先度の高いものから選ぶべきです。
また、書いているうちにもテーマを見失うと「書いていて楽しくない」「なんのためにこれを書いていたのだろう」となりがちです。やはり、テーマは重要なのです。

プロットはなんのために?

プロットはなんのために書くのでしょうか。
理由は以下の通りです。

1:設定を忘れないため
2:全体のバランスを見るため
3:誰かと相談するため

「1」はわかりやすいですね。
頭の中で思い浮かべているだけの設定はすぐ忘れたり思い違ったりしてしまいます。ちゃんと書きましょう。
こういうことがしたい、こういう風に話を持っていきたい、ということを書くためにプロットがあります。

「2」が、プロットをしっかり作る人の最大の目的になるでしょう。
よく郊外に壁や植物で作られた巨大な迷宮がありますよね。
その中を進む人は自分が今どこにいるのかわからなくなるものですが、
高いところから見ることができたら、迷宮の構造がよくわかるはずです。
こんな風に、全体のバランスがどうなっているかを高い視点から見られるのがプロットの価値です。

書き始めてしまうと直すのは大変ですが、プロット段階では修正しやすいというのも重要です。
しっかりプロットを作ることで、作品の完成度を高めることができるでしょう。

「3」はちょっと意外でしょうか?
でも、あなたがプロ作家になるなら、これは重要な理由なんです。
多くの場合、プロ作家は書き始める前に編集部と作品内容について相談します。
それがちょっとした相談程度か、ある程度確認してもらうのか、がっちりプロットを作るかは程度問題ですが、
昨今はしっかりとしたプロットで見てもらう人が多いようです。

原稿で見てもらった場合、直すとなると大きな手間がかかります。しかしプロット段階で見てもらえれば、修正は楽になります。
そのためにも、プロットを書く習慣を身につけておくことには意味があるのです。

【執筆者紹介】榎本海月(えのもと・くらげ)
オタク系ライター、ライトノベル編集者。榎本事務所に所属して幅広く企画、編集、執筆活動に従事。共著として『絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる。』などがある。2019年にも新刊『この一冊がプロへの道を開く!エンタメ小説の書き方』『物語づくりのための黄金パターン117』『物語づくりのための黄金パターン117 キャラクター編』(ES BOOKS)、『異世界ファンタジーの創作事典』『異中世世界創作事典』『神話と伝説の創作事典』(秀和システム)を刊行。PN暁知明として時代小説『隠密代官』(だいわ文庫)執筆。講師としては愛知県名古屋市の専門学校日本マンガ芸術学園にて講義を行い、さらにオープン参加形式で【土曜セミナー】毎月開催中。

タイトルとURLをコピーしました