「外」のことって面白いですよ
小説に登場するのは日本が多いのに知る必要ってあるの? と思う人もいるかもしれません。
海外には我々からすると笑いたくなるようなルールや、驚くようなルールを持つ国がいくつもあります。
それらを知ることで発想のヒントになる。それだけではなく、自分の生活とは縁遠い世界がわかると、自分の生活を見つめ直すきっかけにもなります。
例えば、日本ではコンビニが24時間やっていることが当たり前だったり、電車が定刻通りにやってくることは当たり前だ。ところが、海外の人からするとその光景は不思議に思えるそうです。
コンビニには24時間休みなく働いている人がいるのだろうかと思う人がいるという笑い話があったり、定刻通りに来る電車に驚かされる人も多いとか。
このような違いは社会や会社のシステムの違いによって生じます。それが国らしさ、土地の雰囲気につながるわけです。
当たり前のように存在するものを見つめ直すためにも、海外事情を見ていきましょう。
講義では、他国の法律についてふれていきます。その中でシンガポールに注目されていました。この国はマナーに関する厳しい法律があることで知られます。
ゴミのポイ捨てで1000ドルの罰金を科せられたり、チューイングガムは持ち込むことができなかったりする。
これは性悪説に基づいて、厳しくしなければ統制がとれないとの考えによるものだそうです。人間は生来堕落する素養があるので、法律で厳しく律する必要があるというわけです。
法律にはその国や政治家の考え方が反映され、国らしさを築いていくのですね。
世界の変な法律
続いて講義は各国の変な法律の紹介に移りました。私が印象に残ったのは、ラスベガスでは「自動車運転」が禁止されているというものです。
どうしてそんな法律があるのか、意味がわからない人も多いと思います。これにはちゃんとした理由があって、「馬車」が存在した時代のなごりです。
自動車が走ると騒音で馬を驚かせてしまう。それを防ぐために、馬車が多かった時代は自動車が禁止されていたわけです。
しかし時代は移り変わり、自動車が中心になっていき、法律だけが形骸化して残ってしまった。
おかしな法律を知って、ただ面白いと思うだけではもったいない。
どうしてそんな法律ができたのかを考えたり、調べたりすることで自分の知識を増やすことができるという話もされていました。
中でも印象深かったのは、トルクメニスタンのニヤゾフ大統領が統治していた時代の話でした。
独裁政権であり、首都と大学を除く図書館の廃止、テレビ放送枠の制限(衛星放送が見られたので規制は名ばかりだったとも)などの情報統制がある一方で、
大統領が大好きなメロンに関する記念日を作ったり、自著『魂の書』を学校の教科にするなど、自分の好みを押しつけるようなルールが作られたそうです。
自分の書いた小説や書籍が学校の授業で使われる、羨ましい半面、恥ずかしくなりそうな不思議な気分ですね。
このように世界には自分の世界とは大きくかけ離れた場所がいくつもあります。
「事実は小説よりも奇なり」とはよく言ったものです。これらを調べて自分の生活を見直すと、創作のヒントが見つかるかもしれません。
そして、講義では海外などの旅行に行くことも推奨されました。当たり前になっていることが急になくなるという経験は旅行先ではよくあること。
その経験をすることで、なくては困るものがはっきり見えてきます。ぜひ、海外へ足を運んでみてください。
ちなみに、ニチマでは二年時に海外研修を実施してします。一人で海外に行くには勇気がいるので、そのような機会を利用してみてはいかがでしょうか。
このような講義・演習を、土曜セミナーでは行っております。一般の方、卒業生の方、他コースの学生さん方も、参加をお待ちしております。
※本レポートは、専門学校日本マンガ芸術学院における「土曜セミナー」の様子です。講義・演習は榎本秋のプロデュースのもと、講師:榎本海月が行ないました。
【執筆者紹介】榎本事務所(えのもとじむしょ)
作家事務所。大阪アミューズメントメディア専門学校、東放学園映画専門学校、愛知県の専門学校日本マンガ芸術学院、専門学校日本デザイナー芸術学院仙台校などの専門学校やカルチャースクールなどへの講師派遣、ハウトゥー本の制作を行い、小説の書き方やイラスト・マンガの描き方といった創作指導に力を入れている。