2018年2月:「ネット小説のすすめ」

2017年度

ネット小説を好き勝手書こう!

この日の土曜セミナーは特別回。
「絶対誰も読まないと思う小説を書いている人はネットノベルの世界で勇者になれる ネット小説創作入門」が、講師・榎本海月が共著者になって刊行された記念として講義が行われました。

今回刊行されたネット小説の入門本、この本に書かれているのは「ネット小説からデビューをしよう」ではありません。
ネット小説が書籍化したものが多く見られる昨今ですが、このネット小説デビューはとても大変です。
ネット小説、というものがものすごい速さでものすごい量を書かなければ、なかなか上へ行けない世界だからです。
結局、新人賞でデビューするのと、そう変わりがないんですね。

ただ、ものすごく長い作品を書きたい人にとっては、ネット小説はいいようです。
新人賞が一冊の中できっちり終わることを求められるのに対して、ネット小説は長い間、物語が上がり下がりを繰り返す傾向にあるためです。マンガの長期連載に近いイメージでしょうか。
とかく、デビューへの近道としておすすめしているわけではないのです。

ではどうしてネット小説をすすめるのか、というと、
「手軽だから」
が一番だそうです。

新人賞に送る作品を作る、というのは大変です。
一方ネット小説はぱっと作品を出すだけなら簡単で、
紙の本に名前が載って、書店に並んで、ということはなくとも、数多くの人に読んでもらえる。
たくさんの人に自分の作品を読んでもらいたい、という人にプロになる以外の道が示されたわけです。

そういう事情から、このネット小説に関しては、
「好きなことからスタートしよう!」
と講師は言います。


今まで学校での授業では、
「プロットを作ろう」「ちゃんと話としてまとまりのあるものを考えよう」
という話がされてきました。
しかし、今回はそうではなかったのです。

「なんなら順番通りに書くことすらしなくていい。主人公が活躍するシーンばかりをまず書いていく、くらいでもいい」
と、講師は話しました。
それで評判が出なかろうと、感想レビューを書かれなかろうと、好きなことを好きなだけ書いてみようよ、というのです。

最終的な目標はプロデビュー、という人でも、
「まず難しいことを考えずに好きなものを書いてみる」
でもいいのです。

アマチュアだってつらいよ

ただし、ということで、講師が投げかけた疑問は、
「プロの作家と、アマチュアの作家の違いはなにか」
でした。


その答えは、

第一には、依頼されて書くかどうかです。
同人なら普通依頼がありません。

そして第二が、編集者がいるかいないか、です。
作者と読者の間に入ってくださる編集者がいない、ということは、
作者から読者へのアクション(作品を作り、本を売る)も、
読者から作者へのリアクション(作品を読み、感想を作者に伝える)もダイレクトなものになってしまいます。

プロの目で「これは世に出してよいクオリティか」と判断してくれる人も、
読者からの意見に含まれる作品が良くならない類の指摘やただの文句を「これは作者に見せないほうがいい」と判断してくれる人もいないわけです。

ネット小説を書くにあたって、
自分の作品のクオリティを上げるプロの目も、
ネット上での人付き合いも、
作者本人が考えていかないといけません。

それは、ちょっと大変でしょうね。

そうした悩みはありますが、それでもネット小説の世界は「あり」のようです。

自分は、長編を一本仕上げるのは厳しそうだなあ、と思う人、
とにかく好きなものを好きなだけ書きたい人、
本として形にならなくとも、多くの人に読んでもらいたい人、
そういう人は、ネット小説、検討してみてはどうでしょう?

土曜セミナーは一般の方、卒業生の方、他コースの学生さん方のためにもなるように開かれていますので、興味のある方はぜひご参加ください。

※本レポートは、専門学校日本マンガ芸術学院における「土曜セミナー」の様子です。講義・演習は榎本秋のプロデュースのもと、講師:榎本海月が行ないました。

【執筆者紹介】榎本事務所(えのもとじむしょ)
作家事務所。大阪アミューズメントメディア専門学校、東放学園映画専門学校、愛知県の専門学校日本マンガ芸術学院、専門学校日本デザイナー芸術学院仙台校などの専門学校やカルチャースクールなどへの講師派遣、ハウトゥー本の制作を行い、小説の書き方やイラスト・マンガの描き方といった創作指導に力を入れている。

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