2017年8月:「カード式発想訓練」

2017年度

ゲームを楽しんで創作力アップ!

今回はカードを使ってランダムに選ばれる要素を使い、物語を考える演習です。

そのひとつ目は、タロットに似たカードを用いたお話づくりでした。
これはあらかじめ「物語の要所に起きる出来事」として用意されたポイントに、無作為に選ばれたカードに書かれた言葉を当てはめてお話を考える、というものです。

ポイントは全部で5つ。
・事件のきっかけ(どうしてそうなった?)
・主人公の動機(何がしたい?)
・立ちはだかるものは?
・味方、仲間、手助けキャラ、ヒロインの登場
・結末(そしてどうなった?)
です。

またカードには正位置と逆位置があります。例えば「守る」と書かれたカードを引いたとして、正位置ならばそのまま「守る」として、逆位置ならば「守られる」「守らない」「攻める」等々意味をひっくり返して当てはめることになります。
これらランダムに組みあわせられた設定から、参加者の方々には物語のあらすじを作ってもらいました。

カードを引いてその内容に一喜一憂、とゲーム的なシステムを楽しんでくれた参加者も多かったです。
他方、思いもよらないカードを引いたためにお話を作るのに困ってしまう、なんて姿も見られました。
しかし講師曰く「そこでどうすればうまくいくかと頭をひねることが大事」なのだそうです。

さて、それでは今回はどんな作品ができたのでしょうか。一部紹介させてもらいますね。

(1)
・事件のきっかけ
>受け入れる(正位置)
・主人公の動機
>変わる(正位置)
・立ちはだかるもの
>染まる(逆位置)
・味方、仲間、手助けキャラ、ヒロインの登場
>つくる(正位置)
・結末
>憤る(正位置)

この人は「ある学校をわがものにしようとする悪い教師と、それに立ち向かう正義の教師のお話」を作ってくれました。
敵教師は自分に都合のいいようなルールを、そうとは気づかれないように設けようとし、周りの教師たちはその真意に気づかないままルールを受け入れてしまいます。そして学校は敵教師に支配されてしまいます。
別の学校にいたころ同じ手口で敵教師に苦しめられた主人公の教師はこの問題に気づき、現状を変えようと動き出します。
しかし敵教師の考えに染まっていないために、彼は周囲から孤立してしまうのです。
このあたり、カードの内容がうまく生かされています。

この後、主人公と同じく敵教師との因縁を持つ生徒が現れます。彼らは他数人の同志とともにチームをつくり、敵教師の陰謀を暴きます。
騙されていたことに気づいた教師や生徒の怒りによって敵教師はやめさせられるのですが、講師はここに改良の余地があると話しました。

例えば「つくる」を「チームをつくる」から「仲間をつくる」に変えるとこんなドラマを描けます。
「主人公は前の学校で敵教師に抗い一度味方を失ったため、今回は一人で戦おうとする。しかし物語のなかで考えを改め、仲間をつくる」
ちょっとドラマチックですよね。

(2)
・事件のきっかけ
>知る(逆位置)
・主人公の動機
>侵す(逆位置)
・立ちはだかるもの
>なおす(逆位置)
・味方、仲間、手助けキャラ、ヒロインの登場
>揺らぐ(正位置)
・結末
>開く(逆位置)

この人は「一流のスパイである主人公が記憶を失い、自分を助けてくれたヒロインとともに記憶を取り戻そうとするお話」を考えてくれました。
主人公は他人を信用しない男でしたが、記憶を失ったことでヒロインを信じるようになります。ふたりの心の距離も物語を通して近づいていきます。
ところが中盤、ヒロインを庇って大怪我を負った主人公は、彼女の看病のおかげで助かったにもかかわらず彼女を殺してしまいます。実はヒロインもまた主人公を探ろうとしたスパイだったのです。
彼女は、最初は情報を得るために協力したけれど、今は本当に主人公を愛しているのだと語りました。しかし記憶を取り戻した主人公は他人を信じません。彼は悲しみを抱きながら、ひとり組織に戻っていきます。

講師曰く、こちらはかなりおいしいカードの組み合わせだったそうです。
揺らぐヒロインと、閉じる(開くの逆)主人公、という組みあわせは、なるほどうまくかみあったと感じさせられますね。

タイトルも組み合わせてみよう

次に取り組んでもらったのは、タイトルからお話を作る創作方法です。
上の句と下の句に分けられたふたつの言葉をランダムに選び、そのふたつをあわせたタイトルから物語を考えます。
例えば上の句で「蜘蛛の」下の句で「ランプ」と書かれたカードを引いたなら、それらを合体させた「蜘蛛のランプ」というタイトルからお話を想像するわけです。

こちらも、皆さん意欲的に取り組んでいました。
その中からひとつ紹介させてもらいます。

タイトル
「塩の」×「品格」
そこから連想されたお話は、
「平凡な高校生だった主人公が、クラスのマドンナ的存在である女の子の裏の顔(巫女服姿で悪霊退治を行う塩マニア)を知ってしまい、彼女の活動に巻きこまれる」
というものでした。

もう、ヒロインのキャラクターだけでかなりのインパクトです。
が、講師はここで一工夫できるとアドバイスをされました。

曰く「塩」性の違いを考え、主人公とヒロインがぶつかり合うようにする。

たとえば主人公に、料理に使うものとしての塩へのこだわりを持たせることで、ヒロインと対立させようというのです。
かたや料理のための塩にこだわる男、方や悪霊退治のための塩にこだわる女、というわけです。
こうすると主人公のキャラが立って、その分ヒロインのキャラも際立ちます。
このあたり、以前の授業で行われた「キャラクター同士を対立させる」という考え方が絡んでいますね。

土曜セミナーは一般の方、卒業生の方、他コースの学生さん方のためにもなるように開かれていますので、興味のある方はぜひご参加ください。

※本レポートは、専門学校日本マンガ芸術学院における「土曜セミナー」の様子です。講義・演習は榎本秋のプロデュースのもと、講師:榎本海月が行ないました。

【執筆者紹介】榎本事務所(えのもとじむしょ)
作家事務所。大阪アミューズメントメディア専門学校、東放学園映画専門学校、愛知県の専門学校日本マンガ芸術学院、専門学校日本デザイナー芸術学院仙台校などの専門学校やカルチャースクールなどへの講師派遣、ハウトゥー本の制作を行い、小説の書き方やイラスト・マンガの描き方といった創作指導に力を入れている。

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