2017年7月:「キャラはポリシーで立てる」

2017年度

重要なのは動機!

作家志望や新人賞受賞者の作品に関して、時たまこういう意見が出てきます。「このキャラクターがどうしてこんな行動をするのか分からない」
「なぜこういう判断をしたのか分からない」

キャラクターの行動、その理由が理解できない、というのは強く読者の心に引っかかるのです。

こういう問題が起こる原因には、
「フィクションでは世の中にあまりないこと・特別な出来事を描くことが多い」
ということが挙げられるそうです。

それは確かに物語を面白くする手段としては王道なのですが、
その分、その時のキャラクターの判断・行動というものは、我々一般人からは逸脱していることが多いのです。

例えば黒服の集団に追いかけられる女の子がいたとして、普通の人はそれに関わりあおうとはしないもの。
そこに主人公が首を突っこむというのなら、彼には普通の人とは違うなにかがあるのでしょう。
講師は、そのなにかをはっきり見せないといけないのだと言います。
そうしなければ「キャラクターが物語の都合のいいように動かされている」と見えてしまうのです。

あなたのポリシーはなんですか?

では、そのためにはなにをしたらいいのでしょう?
今回講師が挙げた方法は「キャラクターにポリシーを与える」でした。

ここでいう「ポリシー」はキャラクターの信念・信条・方針のようなもの。
・そのキャラクターは何を大事にするのか。
・何がしたいのか(どういう風でいたいのか)。
・彼(彼女)にとって譲れないものはなにか。
・彼(彼女)はどんなことに怒るのか。
等々。

これがはっきりしなくては、キャラクターはその時その時の状況に流されやすい存在になってしまうのだそうです。
・誰かが危機に遭っているから助ける。
・謎があるから追いかける。
・敵が現れたから倒す。
なんてことになると、そのキャラクターは物語にとって都合のいい存在だと言われてしまうのです。

成り行きに合わせて態度の変わるキャラクターというのは、そういう人間として描かれているわけでもないと、ちょっといやですよね。

というわけで、講師がセミナーの参加者の方々に「どんなポリシーがあるだろう」という質問をされました。

すると、
「叶えたい夢や野望がある」
「家族のことを一番に考える」
「親の遺志を継いでいる」
などなど、様々な意見が挙がりました。

この3つのポリシーをキャラクターに当てはめてみると、なるほど同じ場面でもそれぞれ違う動きをしそうです。
これが「キャラが立つ(個性がはっきりする)」ということなんですね。

講義ではさらに「立場×ポリシー」でキャラクターを考えてもらいました。

例えば、サラリーマンに与えるポリシーはなにがあるだろう、という質問に対しては、
「自分の時間を大切にするサラリーマン」
「仕事が好きなサラリーマン」
「長いものに巻かれるサラリーマン」
といった意見が出てきました。
この三者では、仕事への接し方は変わりそうですね。

また、ポリシーはさらに掘り下げることができるようです。
例えば旅の冒険者に与えられた意見で、
「一つ所に居つかない冒険者」
というものがあります。
これについて「なぜそうなのか」というお話がありました。
例えば以下の二つの理由、どちらも「居つかない」理由にできます。

「好奇心が旺盛で、ひとつの場所に落ち着いていられないから」
「ひとつの場所に居続けると面倒があるから」

しかしどちらを理由とするかで、旅人の性格は違って見えませんか?
前者なら、熱意に満ちた行動的なキャラクターに。
後者なら、面倒が嫌いな消極的なキャラクターに。
理由によって、キャラクターは大きく変わってしまいます。

キャラクターのポリシーを考える際は、そういうところに目を向けることも大切なんですね。
魅力的で生き生きとしたキャラクターを作り上げるスキルは、
漫画を書きたい人にも、イラストを描きたい人に必須といっていいものです。

土曜セミナーは一般の方、卒業生の方、他コースの学生さん方のためにもなるように開かれていますので、興味のある方はぜひご参加ください。

※本レポートは、専門学校日本マンガ芸術学院における「土曜セミナー」の様子です。講義・演習は榎本秋のプロデュースのもと、講師:榎本海月が行ないました。

【執筆者紹介】榎本事務所(えのもとじむしょ)
作家事務所。大阪アミューズメントメディア専門学校、東放学園映画専門学校、愛知県の専門学校日本マンガ芸術学院、専門学校日本デザイナー芸術学院仙台校などの専門学校やカルチャースクールなどへの講師派遣、ハウトゥー本の制作を行い、小説の書き方やイラスト・マンガの描き方といった創作指導に力を入れている。

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