2017年6月:「イラストから物語を見出す」

2017年度

イラストをじっと見つめる

今回のテーマは、配られた何枚かのイラストを見て、そこからお話やキャラクターを考えてもらう、というものです。

お話づくりを仕事とする、もしくは仕事としたい人にとって、ストーリーやキャラクターについて考える機会は多い方がいいものです。
中でも自分の慣れ親しんだジャンルでないものについて考えることは大事です。
ところがこれを習慣づけていない人にとって、そういう機会を作ることは難しいもので……。 
だからこそ、こうして演習の場を設けると効果的なのだと講師が説明されていました。

特に、こういうちょっと変わったアプローチは飽きやダレの防止になっていいですね。

さて、演習中の様子はというと……。
やっぱり取り組み方は人によって違いますね。
イラストを見てぱっと思いついたアイデアを書き連ねる人もいれば、
「ここはこういう意味で、ここはこう解釈できて……」と絵に自分の考えを書きこむ人、
パソコンに構想をまとめた後で、それを演習用のプリントに書き写す人の姿などもありました。

講師の方はときどき教室の中を見て回り、悩んでいる生徒さんにはアドバイスをされていました。

一枚の絵も、見る人によりそれぞれ

演習が終わると、講師の方による講評が行われました。
出来上がった作品の「こういうところが良かった」「ここはこういう風にするといい」等のアドバイスが行われる時間です。

あるイラストは建物の中の様子でした。建材は木と土でしょうか。
クロスの敷かれたテーブルの上に手を触れさせて、少女が立っています。
少女の視線の先には窓。開け放たれたその向こうからは麦わら帽子をかぶった子供が顔を出しています。そのさらに奥に広がっているのは森でしょう。

お題は、ここからストーリーを想像する、というものでした。

全体的に多かったネタは「喫茶店」でした。
このイラスト、窓際にはリンゴが置かれていて、また少女の着ている服がなにかの制服に見えるので、そこから「アップルパイを出す喫茶店」を想像したのかもしれません。
喫茶店を営む(喫茶店で働く)少女と森に住む少年の物語、というわけですね。

ところが講師曰く、ドラマチックな展開というものは、それだけでは成り立たないとのこと。
参加者のなかには以下のようなお話を考えてくれた人もいました。

「少女はもともと町に住んでいたが、そこから出てきた。少年は町の住人で、彼が言うには『少女がいなくなったことが原因で、町は悪くなってしまった』とのこと。そこで少女は町へ謝りに行くことになる」

こちらは関係がふたりだけで完結していないので、お話が広がってドラマチックになるわけですね。
彼女の謝罪によって事態がさらに大きく動く、といった展開もできそうです。

一方で、このイラストのここに違和感がある、というポイントからお話を作ってくれた人もいました。

窓が内開きであることに気づいて、なぜそうなのかという疑問から物語を作ったり、
そもそも「細かいところに現実味がない」と感じて「これは他人に見せられた幻なのだ」と考えたり。

こういった違和感からただ否定するだけではなく、どうお話を広げていけるか、という発想が大事なのだそうです。

発想力、そして様々な物事に疑問を見つける力、というのは新しいものを作ろうという人間にとって必須ともいえるスキルです。
このスキルも、創作を志す人なら誰でも役に立つと思います。
漫画を書きたい人ならストーリー作りのために、
イラストを描きたい人にもキャラクター作りの参考になります。

土曜セミナーは一般の方、卒業生の方、他コースの学生さん方のためにもなるように開かれていますので、興味のある方はぜひご参加ください。

※本レポートは、専門学校日本マンガ芸術学院における「土曜セミナー」の様子です。講義・演習は榎本秋のプロデュースのもと、講師:榎本海月が行ないました。

【執筆者紹介】榎本事務所(えのもとじむしょ)
作家事務所。大阪アミューズメントメディア専門学校、東放学園映画専門学校、愛知県の専門学校日本マンガ芸術学院、専門学校日本デザイナー芸術学院仙台校などの専門学校やカルチャースクールなどへの講師派遣、ハウトゥー本の制作を行い、小説の書き方やイラスト・マンガの描き方といった創作指導に力を入れている。

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